そんな中、一度だけ破局の危機があった。

同棲してから1年ほどが経った頃のことだった。

俺は酔った勢いで会社の同僚の女の子とホテルに宿泊してしまった。
俺は断じてその子とは何もやっていなかったけれど、A美には信じてもらえなかった。

「最低!最低!最低!」
「本当に何もなかったんだって」
「うそ!絶対そんなわけない」
「本当だって」
「もうお別れだから出てって!」

そして部屋を追い出された。

俺は一週間サウナやネットカフェ、漫喫を渡り歩いた。
俺たちの仲も終わりだなと思っていたある晩A美からメールがきた。

『ごめん』
『何が?』
『本当に何もしてなかったんだってね』
『当たり前だろう』
『帰ってきてくれる?』
『わかった。帰るよ』

どうやら俺の会社の同期でよく一緒に遊んでいる友達から本当に何もなかったと聞いたようだった。

俺が部屋へ戻るとA美は
「もうこんな思いはしたくないから誤解されるようなことはしないでね」
と言って泣いた。

こうして二人の危機は脱出した。
この後は特に問題もなく俺たちは仲良く同棲生活を続けた。

同棲を始めてから4年目の5月、俺はA美にプロポーズをした。
付き合い始めてから6年目のことだった。

俺はA美の誕生日にサプライズプロポーズをした。
A美は涙を流して喜んでいた。

俺たち2人は両家の両親と食事をして婚約指輪を渡すぐらいでいいかなと思っていたけれど
A美の両親がきちんと結納をしたいということだったので、日本式のちゃんとした結納をした。

春から夏にかけては結納の準備でバタバタだった。

そして7月に結納を交わした。

結納が終わったら今度は結婚式巡り。
ブライダルフェアーには何度も行った。

そして一年後の10月に式場を予約した。
1年かけてゆっくりと結婚準備をしていくことになった。

・・・それがわずか5ヶ月の前のことだった。
まさかこの後あんなことになるなんて、このときの俺は全く考えていなかった。

A美が間違えて俺に送ったメールがすべての始まりだった。

『遅い!○○ホテルの1036号室だよ。わかってる?早く来てね』

こんなメールが夜の10時に送信されてきた。
俺は何の事だか全く分からなかった。